>夜桜@千鳥ヶ淵<
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皇居の周りをぐるっと囲むお堀。武道館に程近い千鳥ヶ淵は桜の名所。お堀に沿って続く桜のトンネルを歩いてみよう。

上を見上げると、一面の桜さくら!桜で出来た天井だ。桜の隙間からお月様が見え隠れしてた。ホントだよ。 

ピンクより、白に近い桜の花びら。風に舞うと雪みたい。

けっこうベストショットだと思うけど、いかがかしら?


-Yozakura-


アノ人との待ち合わせは、いつもこの桜の木の下だった。
春になれば、淡いピンクの花をいっぱいに咲かせ、通りすぎる人々の足をしばしの間、止めた。特別名所というわけでもない。名もない小さな公園の、けれど存在感のある木。

アノ人は、まるでヴァンパイアみたいで、会えたのはひとけのない”静寂”の時刻・・・・。
今わたしは一人、この桜を見上げる。アノ人がしていたのと同じように。アノ人はこうして花を見上げるのが好きだった。

近くに佇む街灯が、ぼんやりとした鈍い光を放っている。それでも闇の中では桜の存在を見とめさせるには十分なのだ。
暗闇の中にアノ人の姿が浮かんでいる。
何を思い、何を感じて見つめていたのだろう・・・。近づくことに躊躇いを覚えていた。いつもいつも。
アノ人が綺麗過ぎて怖い・・・。アノ人の発する空気が創る、空間を壊してしまいそうで・・・。自分はアノ人に触れてはいけないのかもしれないと、頭の中をよぎってしまっていた。

それはいつのことだったろうか。風の強い日だった。アノ人は同じように立っていた。けれどそこにいないのではないかと錯覚した。まるで仮想現実・・・。
花吹雪の中、一人佇むアノ人は、本当にそこに存在しているのか、わからなくなった。わたしが創り出した単なる幻想なんだ、と。桜の花に攫われてしまって、そこにあるのは幻像なのだと。
花吹雪の中、一人佇むアノ人は、今にも消えてしまいそうだった。
風の音が強くなって、たまらずわたしは走り出した。
駆け寄って抱きしめた背中は確かなものだった。幻なんかではなかったけれど。
「どこにも行かないで・・・」
どうしたのか、と笑って尋ねて、「・・・大丈夫」とわたしの髪を撫でた。
桜よ、どうかアノ人を連れて行かないで・・・。アノ人の匂いに包まれて、そう想っていたのに・・・。

風もなく、何のざわめきも聞こえない。
ハラハラと花びらが一枚舞った。手を伸ばしたけれど、すり抜けてしまう。
アノ人への想いも、散って、闇の中へとけて消えてしまえば良いのに・・・。

闇の中を  踊る 櫻 桜 さくら・・・

舞い散る花に アナタを想えど 愛しい人は もういない・・・



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